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目の病気

眼底の病気

正常眼底
正常眼底

中心性漿液性脈絡網膜症

網膜の中心部である黄斑部に円形の透明な漿液性網膜剥離がおこる病気です。急に中心部がぼやけて見えづらくなり、暗く小さく見えるようになります。ストレスや疲労が原因で30〜40才台の働き盛りの男性の片眼に多いといわれています。診断には蛍光眼底造影検査が必要です。造影検査では黄斑部付近に漏出点が見つかることがあります。
38才 男性 蛍光眼底造影検査
38才男性 右眼中心部の漿液貯留 蛍光眼底造影検査にて黄斑部の上方に漏出点

治療

通常は3〜6ヶ月で治癒しますが、改善が遅い場合には循環改善の薬剤を使うこともあります。蛍光眼底造影検査で漏出点があればレーザー光線による治療の適応があります。

加齢性黄斑変性

72才 男性
72才 男性 右眼 視力指数弁
60歳以上の男性に多くしばしば両眼に発症します。症状としてはものが歪んで見えたり、中心部が見えずらく視力も悪くなります。網膜中心部に代謝産物が蓄積しこれを吸収するために発生する新生血管にあるといわれています。この血管は異常血管であり非常にもろく出血したり、水分が漏れてしまいます。この出血や水分が網膜の中心である黄斑にたまり中心が見えなくなるのです。皮膚にシミができるのと同じように、体質の関係した一種の老化現象と考えられています。

治療

年齢による変化ですから完全に良くなる方法はありません。最近ではレーザー光線や放射線療法、手術治療などが試みられていますが、これらの方法でも完全に回復させるのは困難なようです。

網膜裂孔・円孔

網膜にできた亀裂を網膜裂孔といい丸い形のものを円孔といいます。目の中にある硝子体が老化現象により縮み、網膜から離れるときに網膜を引っ張り裂け目や穴を作ってしまいます。また若い人でも眼球打撲などの外傷や、近視の人には生まれつき網膜に弱い部分があることが多く、起こりやすいといわれています。裂孔や円孔だけの時期であればレーザー光線で治療できますが、放置しておくと網膜剥離をおこし手術が必要になります。裂孔や円孔ができたときに生じるといわれる飛蚊症(目の前に見える黒い点)を自覚したら放っておかず、早めに検査をうけましょう。

治療

レーザー光凝固術にて裂孔、円孔の周りを凝固し網膜剥離に進行するのを防ぐ。
42才 女性 レーザー光凝固術後
42才 女性 左上に裂孔 レーザー光凝固術後

裂孔原性網膜剥離

52才 男性
52才 男性 右眼 視力1.2
48才 女性
48才 女性 左眼 視力1.0
網膜裂孔や円孔を放置しておくと、網膜の亀裂や穴を通して目の中の水分(液化硝子体)が入り込み網膜が剥がれてしまいます。網膜剥離をおこすと光を感じる網膜が剥がれてしまう為、神経細胞が機能せず光を感じなくなります。実際には片目で見た時に部分的(上半分とか下半分または耳側や鼻側)に見えないところが生じます。剥離の部分は徐々に広がりますので、時に上から黒いカーテンが降りてくるように見えなくなった、また下から黒い影がせり上がってきた、と言われることがあります。

剥離した網膜を薬やレーザー光線で治すことはできません。網膜を復位させるためには手術が必要です。網膜を手術で元に戻すと障害を受けていた神経細胞が再生して光を感じるようになります。しかし100%の完全な再生はできず、物を見るのに大切な中心部の黄斑部まで網膜剥離が進行していた場合は網膜が完全に復位しても元どおりの視力改善は困難です。見えづらい部分を感じたら、それが中心部にかかる前に眼科受診し精密検査を受けましょう。中心部の視力が悪くなる前に適切な治療をされれば元どおりの視力回復が期待できます。

治療

網膜剥離の状態によって手術法方が異なりますが大きく分けて次の二つの方法があります。
網膜内嵌術・・・
眼球の外側からシリコンスポンジやシリコンバンドを縫い付け眼球の内側へ隆起をつけ、剥がれている網膜をつけます。
硝子体手術・・・
直接眼球の中から空気やガスの圧迫により剥がれている網膜を元に戻します。

特発性黄斑円孔

特発性黄斑円孔 特別な病気もなく健康な人におこり、見ようとする中心部が暗く見えずらくなり、視力が低下します。これは物を見るときの中心である黄斑の網膜が無くなるからです。丸い穴があいたように見えるので円孔といいます。原因ははっきりしていませんが、老化現象により硝子体が引っ張り穴があく、また網膜の上に薄い膜がありこれが中心部から外側へ向かい引っ張るため真中に穴があくと考えられています。中高年の女性の方に多く発症します。この病気は進行性のもので初期は自覚症状もなく視力低下もありませんが、徐々に進行し真中の円孔がはっきりしてくるとともにに中心が見えずらく視力が低下してきます。発症早期に硝子体手術により進行を防ぎ、また視力回復や中心暗点の改善も期待できます。

治療

硝子体手術

黄斑上膜

黄斑上膜 網膜中心部である黄斑の上に繊維のような膜ができる病気です。軽度の場合は自覚症状はありませんが、高度の場合は膜が厚くなり視力低下や、この膜が収縮することで網膜にシワができ物が歪んで見えたりします。硝子体が老化で縮んで眼底の網膜から離れるときに薄い膜状に残ったものが原因と考えられています。

治療

軽度(症状が無い)であれば経過観察
視力低下や変視症(歪み)が強ければ硝子体手術

糖尿病網膜症

<糖尿病で失明する!?>

糖尿病はもともと欧米で多くみられる病気でしたが、日本でも最近急速に増えてきています。1997年の厚生省の実態調査では糖尿病が強く疑われる人が690万人に達し、糖尿病の可能性を否定できない人が680万人にのぼり、実に1370万人に達するといわれています。50歳台以上では、10人に1人以上が糖尿病ということになります。糖尿病はそれ自体で死を招くことは少なく、その合併症がとても怖いのです。糖尿病の三大合併症は、腎症、神経症、目の網膜症です。
慢性腎不全になると人工透析が必要となり、神経障害による神経痛や足のしびれ、そして網膜症による失明などがおこります。糖尿病は成人の失明原因の第1位である重篤な病気です。

<糖尿病網膜症>

血糖値が常にコントロールされていれば、糖尿病網膜症の発生は避けられます。しかし、いったん糖尿病網膜症で眼底に出血したりしますと、その後、血糖コントロールを十分にしても、網膜症そのものは進行していきます。
糖尿病が発症してから、網膜に病的変化が表れるまでには個人差もあり、また治療によっても違ってきますが、5年から10年が多いようです。

網膜症は進行程度にしたがって単純、前増殖、増殖の三段階に分けられます。 初期の段階の単純網膜症では自覚症状がまったくなく、網膜出血や白斑などの沈着物は内科的に糖尿病を治療し血糖を正常化することで消失します。

さらに進行すると網膜出血や血管の異常が多発し、視力低下や飛んでいる虫や髪の毛のようなものが見える飛蚊症がおこります。これは前増殖網膜症や増殖網膜症の症状で、この段階では内科的な治療だけでは網膜症の進行を抑えることはできません。眼科的にレーザー治療や網膜症の程度によっては手術が必要になります。
正常眼底 正常眼底
(網膜の色調は正常で光の反射も良好です。出血や白斑などはみあたりません。)
単純網膜症 55才 男性 視力1.0
(網膜の小出血 、毛細血管瘤、蛋白質・脂肪が沈着した白斑が見られますが視力に関与する大切な網膜の中心である黄班部は、障害されていません。)
前増殖網膜症 52才 男性 視力1.2
(網膜の出血と白斑が増加し、網膜血管の拡張、走行異常がみられます。内科的な血糖コントロールだけでは網膜症の進行を抑えることはできません。新生血管という異常血管の発生を防ぐためレーザー光凝固をおこないます。)
増殖網膜症 55才 男性 視力1.0
(新生血管より目の中に出血してしまう硝子体出血をおこしています。)
増殖網膜症 48才 男性 視力0.6
(硝子体出血をおこし急激に視力が低下していす。また網膜〜視神経乳頭上に増殖膜が出現しており、この膜が網膜を引っ張ることで網膜剥離をおこすこともあります。ここまで進行するとレーザー光凝固だけでの治療は難しく外科的な硝子体手術が必要となります。)

<当院で行っている検査と治療>

1.眼底検査
初期の単純網膜症や治療後の網膜症では定期的に視力検査、眼圧測定、眼底検査をおこない網膜症の進行がないか経過観察をおこないます。
特に眼底検査は血管、網膜、視神経に異常がないか直接目の中を見る検査で非常に大切です。
網膜症の進行や程度により受診の間隔は異なりますが、続けて診察を受けられれば治療の時期を逃すことはありません。
2.蛍光眼底造影検査
経過観察中に網膜症の発症や進行を認めた場合、蛍光眼底造影をおこないます。これは網膜や血管の異常を正確に把握するため、造影剤を静脈に注射して眼底を写真撮影する検査です。
その時点での網膜症の程度がわかり、治療法の決定に役立ちます。
撮影は注射後10分程度で終わりますが、吐き気をもよおしたり、気分が悪くなるかたもおられますので、しばらく休んで帰られたほうがよいでしょう。
カラー眼底写真 蛍光眼底造影検査
増殖糖尿病網膜症 59才 男性 視力0.8 カラー眼底写真でみられる網の目の異常血管は、蛍光眼底造影検査により明らかな造影剤の漏出を認め新生血管であることがわかります。
3.レーザー光凝固術
これは進行した網膜症である前増殖網膜症と増殖網膜症の場合に、網膜の虚血部へレーザー光を照射し熱で凝固する手術で異常血管の発生を防ぎ、消退を促します。
しかしレーザー治療はこの場合網膜症の進行を防ぐためにおこなわれるもので視力の回復を目的としたものではありません。したがって、レーザー治療はその好機を逃さずに実行することが重要です。
レーザー治療は入院せずに、外来通院でおこないますが、一度に全部の虚血部を凝固することはできませんので、片眼ずつ数回に分けておこないます。
55才 男性 レーザー光凝固術経過観察中 55才 男性 視力0.8
4.手術治療(硝子体手術)
かつては「糖尿病網膜症に対する硝子体手術は最後の手段」と考えられていました。
以前は網膜症の進行した患者さんが手術の対象となる場合が殆んどでした。なんとか失明から逃れる目的で手術されることが多く、また手術自体も術中・術後の合併症が多かったためです。
しかし現在は、様々な手術装置、手技の開発により手術の安全性は高まり、手術成績もかなり向上してきています。 さらに手術適応も広くなり、術後に良好な視力が期待できるような早期に手術を行うことも多くなってきました。

<眼底検査の目安>

血糖のコントロールの状態にもよりますが、糖尿病だけで網膜症がない人でも一年に一回、単純網膜症の人は3〜6ヶ月に一回、前増殖網膜症の人は1〜2ヶ月に一回。
増殖網膜症の人は2週間〜1ヶ月に一回の検査が必要でしょう。 内科における血糖値のコントロールが上手くおこなわれていても、眼底検査で網膜症が進行していることがありますので、目の合併症については眼科で検査を受ける必要があります。

糖尿病になったら、これは治る病気ではないということを肝に銘じ、しっかり血糖をコントロールし続けることと、定期的な検査、特に眼底検査を受け、症状によってはレーザー治療などを積極的に行い、失明という最悪な事態にならないようにしたいものです。
医師

網膜中心静脈閉塞症

この病気は高血圧や動脈硬化、血管の炎症と関係しているといわれています。網膜の動脈と交差している静脈が、硬くなった動脈に圧迫されたり、血栓が詰まったりして、血液が流れにくくなり溢れ出るものです。この流れが悪い部分が静脈の抹消(先端の部分)で起こったものを網膜静脈分枝閉塞症といい、中心静脈の根元(網膜に入ってくる所)で詰まったものを網膜中心静脈閉塞症といいます。出血している場所が見えなくなるのですが網膜静脈分枝閉塞症の場合は出血の範囲が狭く網膜の中心にかからなければほとんど視力低下はありません。しかし網膜中心静脈閉塞症では根元で詰まるわけですから網膜全体に出血してしまい初期には見えていても急激に視力低下をおこします。
網膜静脈分枝閉塞症 網膜中心静脈閉塞症
網膜静脈分枝閉塞症 網膜中心静脈閉塞症

治療

まず当然ですが高血圧や動脈硬化などの原因となりうる病気があればその治療が必要です。
出血は徐々に吸収され消失しますが、一度低下した視力は多くの場合回復はしません。
広い範囲に出血がある場合にはレーザー光凝固術をおこないます。しかしこの治療は視力を回復させるためのものではなく、血流が悪いことで生じる新生血管の発生を予防するためです。この新生血管を放置しておくと緑内障や硝子体出血をおこす原因となります。

網膜中心動脈閉塞症

これは網膜を栄養する動脈が詰まる病気です。静脈とちがい動脈が詰まるわけですからその動脈が支配する部分へは血液がまったく流れなくなりその網膜は死んでしまい光を感じなくなってしまいます。症状は詰まる動脈の位置でちがいます。動脈の根元で詰まるとすべての網膜が死んでしまいます。網膜の上の部分が詰まると下のほうが見えなくなります。
突然暗く見えなくなったら(一部分でも)網膜中心動脈閉塞症の危険があります。発症直後であれば血流を再開させることで視力を回復させることが可能な場合があります。とにかく突然見えなくなったらすぐに眼科を受診してください。

治療

発症直後であれば眼球マッサージや眼圧を下げることで網膜血管を広げる試みが行われます。坑凝固療法や血小板凝集抑制薬を投与することで発生の予防や視力低下を最小限にとどめます。また全身的な検査も必要です。

網膜細動脈瘤

81才 女性
81才 女性 左眼
網膜にできる動脈瘤(血管のこぶ)です。通常は自然に消滅することが多いのですがなかには瘤が破裂し網膜下に出血がひろがりその部分が見えなくなることがあります。

治療

動脈瘤が破裂し広範囲に出血した場合には蛍光眼底造影検査をおこない出血源を確認したうえでレーザー光線で凝固します。

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